je2egz’s blog

ごろごろなう



さちさん

さちさんと出会ったのは、梅田である。

待ち合わせに梅田を指定してくるのは、大阪ビギナーとしては、敷居が高かった。
梅田で迷うこと数知れず、このときは運よく出会えてたが、それ以降は
さちさんに手を引かれて梅田に詳しくなったというのが、ほんとうである。

空庭、阪急本店、JR高島屋、ハービスなどに迷わず行けるようになったのは、さちさんのおかげである。

お互い近所、さちさんは北伊丹から淀屋橋、自分は川西能勢口から守口と、通勤経路が同じだったので、その交点である、梅田は必ず寄った。

川西寄りの宝塚なのだけれど、宝塚を強調したほうがいいとか、健康ツボなど、生活に関わる情報源でもあった。

お互い映画が好きだったので、梅田の映画館に夫婦を装って割引で見に行った。
美術館が好きで、神戸市立美術館に数回と、大塚美術館へ行った。そういうところは、自分ではあまり行かない本場本物主義だったのだが、さちさんのおかげで視野が広がった。

食べ物は、「あまから」という雑誌をとっていたくらい、良く食べ歩きをしたが、料理は得意でないと言っていた。

琵琶湖、城崎温泉、下関、熊野と、ほうぼう出かけた。さちさんのありがたいところは、運転を代わってくれるので長距離が楽だった。

社交ダンスが好きで、体を動かすのが得意、当然スタイルは良い。ある日、裏の鉢山に二人で登ってみたが、踵の高い靴にもかかわらず、楽々登って降りたのでびっくりしたことがある。

好き嫌いをはっきり言うし、あーでなければだめ、こうでなかればダメという注文も多かった。
ただ、明るさときさくさに惹かれて、なにかとこちらも気を引く配慮をした。

弱点は、孫である。

孫に驚くかもしれないが、十代で子供を産み、その子が十代で子供を産めばそういうことになる。

さちさんの気をひくために、孫の自転車のパンクを修理したことがある。
子供の自転車というのは、小さいだけで大人の自転車と同じ構造をしている。
後輪のパンクだったので、チェーンを外して、ブレーキを緩めてから後輪が外せる。
口径が小さい車輪からタイヤを外すのは硬くて難しい。やっとのことパンクを直したら、
外したときの逆で、チェーンの張りを確認してから、ブレーキを調整するのだ。
半日汗だくで孫の自転車のパンクを直した。

孫がいると大変である。
さちさんがデートに出かけようとスカートなど履いたものなら、孫がどこか連れて行ってもらえると勘違いして靴下を履きだしたそうだ。

笑い話ではなく、悲恋である。

結局、孫にさちさんを取られて終わった。